山形県    月 山 (がっさん) 1,984m

    雲の峰 いくつ崩れて 月の山    【芭蕉】
  鶴岡の駅でおりた時、ほんとうに月山の上に雲の峰が立っていた。八月の半ば過ぎ、山は濃い群青で、牛の背のようにゆったりと伸びていた。どんな山でも
 頂上あたりは いくつか鋭く立っているものだが、月山にはそれがない。撫でたような緩やかな線であった。
 ある六月の末、私は山形市の北のはずれから、やはり月山を眺めた。月山だけがまだ雪を置いていたので、すぐに私の目を捕えた。雪のせいか山は威のある
 強い線を示していた。(中略)
    みちのくの 出羽(いでは)のくにに 三山(みつやま)は ふるさとの山 恋しくもあるか 
  斉藤茂吉ならず、山形県人は皆そう感じるに違いない。出羽三山とは、羽黒山、月山、湯殿山のことだが、羽黒と湯殿は山として論じるに足らない。ひとり月山
 だけが優しく高く立っている。      【深田久弥 「日本百名山」より】
  平成23年 7月17日(日)     
                           のろのろ夫婦
【7月16日】 自宅発PM18:30→渋川伊香保IC⇒塩沢石打SA19:00夕食
    19:31⇒新潟県中条IC20:58(料金ゲート通過)⇒朝日まほろば(無料)
    21:21→温海(あつみ)道の駅22:18(泊) 
【7月17日】 AM5:50発→八合目駐車場7:24      走行距離 373km
八合目出発AM8:05…弥陀ケ原標識8:07左回り…弥陀ケ原・
御田ヶ原参籠所分岐8:29…弥陀ケ原一望8:36…第一回目雪渓9:48
仏生池小屋
10:28 10:49…オモワシ山巻く…行者返し11:32…
モックラ坂…大峰12:09…月山山頂12:30 13:00…雪渓下までおりて
13:1513:38

往路を下山13:40発…大峰13:42…モックラ坂…行者返し14:03…
オモワシ山巻く14:24…仏生池小屋14:35
14:46……たたみ石
弥陀ケ原・御田ヶ原参篭所分岐16:05…弥陀ケ原標識16:20…
八合目駐車場16:23      歩行数 23,854歩                      
             
八合目駐車場発16:40→月山ビジターセンター…鶴岡市
温泉ゆぽか17:3518:40→鶴岡市 ルートイン鶴岡18:58

               走行距離 43.4km
  → 一般道   ⇒高速道  …歩き
赤線=往路・復路


【7月18日】 ルートイン鶴岡発AM9:00→鼠ケ関漁港10:15 10:40→
    朝日まほろばI(高速入口)11:25⇒(無料)⇒荒川胎内(有料)⇒中条IC
    ⇒塩沢石打SA13:50昼食14:20⇒渋川伊香保IC15:06→自宅15:12

               走行距離 341.9km
 マップ
 夏の山は、秋田駒ヶ岳か月山に登ろうと決まった。第4週末に計画していたが、大型台風6号が発生して北上している事、高山植物の開花が遅れているが、ヒナザクラがどうしても見たかったので、第3の週末になった。この週末は町内の奉仕作業が3日間あって体力的に遠出は無理と思った。チャレンジ精神、限界はどこまでと、若ぶってみた。”思ったが吉日”で出かける事にした。東北三大祭りが仙台で行われる。東北自動車道は大渋滞が予測されるので、あっさりと月山に決まった。
 月山は3度目です。1回目は、HPの記録も無いH13年、そして2回目はH18.8.12です。この時は雷で仏生池小屋で撤退した。今回は月山スキー場からのコースを選びましたが、観光協会に聞くと残雪が多く大雪渓が姥ヶ岳前と牛首あたりであり、アイゼン着用をすすめられた。他にも2ヶ所あるそうだ。弥陀ヶ原のコースは登山道には無いというので、弥陀ヶ原からのコースで登ることになった。実際、行ってみると10m位の雪渓を2ケ所渡る。

 天気予報と花の開花情報はHPやブログで終始得る。天気はまずまず、道の駅温海で午前5時に目を覚ます。前日奉仕作業で疲れていて、ぐっすり寝た私。眠れなかったのが隊長でした。睡眠延長で5時50分に出発した。
 

ハクサンチドリ

サワラン
  
イワイチョウ

アカモノ
八合目駐車場 弥陀ヶ原標識8:07
 月山高原スカイラインは18kmある。1合目から始まって6合目で交通警備員の姿があった。朝日に輝きカメラの望遠レンズ越しに駐車場の大型バスが連なって見えた。駐車出来たのは8合目であったがすでに満車状態、あと数分遅ければ6合目に駐車してシャトルバスでした。


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 AM 8:20 湿原の花が沢山咲いている。わぁ~!
ニッコウキスゲ!キンコウカ!サワラン!が、目に飛び込む。。。まてまて、今日はここで足を止めると先が長い。帰りに愛でる事にしよう。

 と、言いながらも。。。シャッターを切っています。 
 御田ヶ原参篭所左に鳥海山 月山山頂方面
   月山中ノ宮御田ケ原参籠所も帰りにお参りをしましょう。
 登山道両側には、花が咲き乱れ足を止める。次の花でまた足を止めて、その次も その次もとなる。今年はニッコウキスゲの開花状況が良いように思う。すると、隊長が尾瀬のニッコウキスゲも花の量が多いという情報を教えてくれた。振り返る(↓)と、弥陀ヶ原全体が見渡せる。
 青空・暑い! これはまさに夏山の様相です。
弥陀ケ原・御田ヶ原参篭所分岐

 
                            ↑御田ヶ原参籠所           弥陀ケ原全景   

 
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ハクサンシャクナゲ
 
ハクサンボウフウ ナンブタカネアザミ ハクサンシャクナゲ
 
月山方面・オモワシ山方面 ニッコウキスゲ ウサギギク


サムネイル表示:
AM 9:00 下を見て花をパッチッ! 上を見上げあれは月山山頂? ん? 違う。あのとがった山は、オモワシ山である。
行き交う人に、ご挨拶をする。登っていても結構忙しい。他の山に無い光景は、白装束の参拝者(←)である。
 月山の登山道はすべて石の上を登る様な山道である。土の上を歩くという所は殆どなく、上手い具合に足の大きさに合ったような石が敷き詰められている。
 
ホツツジ 
下山する参拝者とオモワシ山 
 整備をしたのか?自然界の成すままなのか?何れにしても石の道である。下山後に膝に来るのは間違いない。
 出がけに得た情報では、山頂は気温15℃と言っていた。でもそのような涼しさはどこにも無い。有難い位の晴天で、休憩の度に日焼け止めを塗る事になった。
 

 シロバナクモマニガナ イワカガミ  マイズルソウ   ベニバナイチゴ

AM 9:48 巻いているバンダナもビショ・ビショになっている。
あれぇ!。。。雪渓だよ!と大声をあげる。弥陀ヶ原登山コースに雪は無いと言っていたのに(?) 吹き上げてくる風が心地良い。雪があるなら待望の花、ヒナザクラは頂上に咲いている! ドキドキするくらいの期待感です。
 雪が現れたことによって、高山植物の植生が変わってきた。チングルマが咲いているし、イワカガミやウサギギクが群を成すようになった。
 雪渓を踏み跡にそって進む、もうシャーベットのようです。
渡り切って、振り向き際に目の高さにシラネアオイを発見!!まだ、咲いていたんですね。この1ケ所だけでしたね。貴重です。
 
シラネアオイ
1回目の雪渓 

 
 雪渓の全景 後方左は弥陀ヶ原方面


チングルマ ↑サムネイル表示
スミレ ウサギギク ハクサンイチゲ
 月山には過去、1回と半、登っているが、2回とも霧が巻いたり雷雨で登山道からの眺望を楽しんでいなかった。今日は言葉はいらない。素晴らしい景色に、花・花・花なんですもの。幸せ~♪
イワシモツケ アオノツガザクラ ハクサンフウロ

  もう そろそろ仏生池小屋じゃなかった? 過去の記憶では、割と早くに到着したようだったけどなぁ?いい加減です。『まだまだ だよ。』の隊長の声でした。
AM10:28 間もなくすると小屋前の平らな道になった。沢山の人が休んでいます。
 コンビニで買った赤飯・
   
 
ヨツバシオガマ

ヤマハハコ
 
ウスユキソウ

ミネヤナギ

タカネキスミレ(手振れ写真)
仏生池小屋 小屋裏の登山道
梅干し等、軽食をとる。汗のかき方が半端ではありません。塩分の補充も忘れずに、持参した水は足りるかなと思われた。水500ml・番茶500ml・スポーツドリンク500ml・栄養補強ゼリー2人分。足らなかったら山頂にも売店があるし買いましょう。1本500円でも金額云々は言っていられない位の消費でした。
 この山のもう一つの良い所、トイレが小屋ごとにあります。それもバイオトイレになっていて清潔、使用料1回100円、こちらも女性にとっては有難いです。
 ここで、ある人物と遭遇! 隊長に「ほらほらあの3人組、芸能人の~?」名前が出てきません。「欽ドン良い子・悪い子・普通の子のほら!」まだ出てきません。「(^^)あっ! 山口よ。」  『世の中には、他人のそら似があるから、お母さんは”おっちょこちょい”なんだから気をつけろよ。』。。。。^^;

 新しいバンダナを巻き、濡れたバンダナは絞って日よけに帽子の下から襟元にかけてひらひらとさせて出発!なんとバンダナはしょっぱいです。
山頂まで、1時間15分、【行者返し】の坂があるから私達は私達なりのペースで登りましょう。 
オニヤンマと歩く 行者返し 来名戸神社
 小屋から出発して、行者返しの急坂手前の大石辺りで、オニヤンマが私の左足膝に止まった。歩いても離れず一緒に登ることになった。下山して来る人が、『山頂まで連れて行ってあげて』と言う。しばらくすると、羽を休めたらしく飛んで行ってしまった。
AM 11:35 頂上まで1.4Km地点に、【行者返し】と呼ばれる急な岩場がある。役の行者が月山登拝の折、月山大神に修行未熟を諭とされ引き返したという場所。

  サムネイル表示      行者返しは途中で二股である。右に数歩進んで、来名戸神社がある。お参り。登り終えて、ほっとしたのは私達だけではなさそうです。大きな岩に小石を積んだケルンがありました。  
ショウジョウバカマ
 
ズダヤクシュ
 
牛首、湯殿山方面

 
ヒナザクラ群生
サムネイル表示
   もっくら坂を過ぎて大峰の木道が現れた。H13年の時はこの両側にハクサンシャジン・ミヤマシャジンが咲き乱れていた。なんて可愛くて美しいのだろうと一気に大好きになった。今回はまだ固い蕾であった。
大峰の木道

 
月山山頂と一帯 
PM12:15 今年は特に残雪が多いようだ。月山山頂目前に大雪渓です。渡ると200mは有りそうです。右側の石の道を山頂に向かいました。それでも7m位の雪渓を渡らなくてはならなかった。過去の記憶ですと、この雪の下にヒナザクラが咲いていたと思う。そうすると今年はまだ姿を現していないのかな? 不安がよぎります。
 ポタポタ落ちるしずく(↓)を覗き込む、その端にヒナザクラが咲いていた。雪田の融雪を待ち構えて咲く花、可憐で可愛い。月山のヒナザクラを見たくて再チャレンジしたかいがあった。万歳!!



ヒナザクラ



コバイケイソウ



コンロンソウ系?



ミヤマリンドウ
サムネイル表示 
雪のしずく 横断幕  本宮入口
  本宮参拝は500円です。ここまで登ったのだからご利益はありそうなものです。そこで決められた500円を払うのも何かな…なんて思いましたが、今年は卯年、月山本尊のご縁年とあらばお参りをしましょう。奉納すると、お札・絵葉書・登拝認定証を頂いた。
 自動販売機で水500mlを1本買う。冷たくて美味しかった~(^^) 既に水は一口残りでしたので、それと冷たい水を一気に飲む。あの芸能人は間違いなく、山口良一さんでした。10数人のパーティで登って来られたようで、私達の数分前に登頂したようです。
 もう少し山頂の気分を味わってと、うろうろする。登山者で一杯、お弁当を広げる人・人・人でゆっくり出来ない。先に立ち寄る所に行かなければと向かう。なんと長蛇の列、待ち時間
20分もありました。結局、男子用も女性が使う事に…世の男性様申し訳ありません。このような事態の為に、男子用の中は更に二手に分かれて仕切られています。←大事な事です。(
さらに付け加えさせてもらいます。バイオトイレです。)

月山神社 月山神社下の歩いた雪渓 食事のスペース
PM13:15  雪渓下の脇道で、遅めの昼食にしようとシートを広げる(上↑右写真)なんと、アオノツガザクラと並んでのお弁当です。幸せ~♪ いつものコンビニ弁当ですが、超美味しいです。家庭菜園で採れたきゅうりを持って行きました。きゅうりも美味しいです。 さっさっ!と、お弁当を済ませて下山をする。

 午後になると霧が湧いてきた。あの青空も隠れたり出たり、駐車場に到着するまで雷や雨に合いませんようにと願う。 
ゴゼンタチバナ


ニッコウキスゲ


 チングルマの穂
下りの行者返し  仏生池小屋前のお地蔵様 
PM14:03 登りに比べ下りの超早い隊長です。付いていくのが大変、下りに残してあった花や景色も愛でたいのですぅ。。。。あっという間に「行者返し」の岩に来ました。今度は来名戸神社に歩を向けず、右に下山します。沢山歩いて、そろそろヘトヘトですが意外と足や膝に来ていない。何故なんだろう?

畳石標柱  敷石  行者原を行く
 この登山道は”石の上を歩くコース”と話しました。木道を10kmも歩けば膝が痛くなるし土踏まずが暑くなる。このコースの登下山は、体を正面に向けて進められます。体を捻って大きく足を開くような所が無いんですね。あの行者返しでもそうでした。階段を上ったり下りたりと同じ動きです。
 そういえば、80才は過ぎたであろう親とその子が、山頂へ向かった。息子は母に手を差しのべて石を渡り、遂に山頂に到着したのです。微笑ましい光景でした。
 私達も弱足隊ですが「頑張りましたね~♪」、おもわずお声を掛けさせていただきました。『今夜は泊まるんですよ。』嬉しそうである。

コメツツジ

キンコウカ

 
イワイチョウ 

 月山”弥陀ケ池コース”は体力さえあれば、老若男女の登山者や参拝者が登れる万人の山、所以なのでしょう。
PM16:15弥陀ヶ池に到着しました。中ノ宮御田ヶ原参籠所に寄らずに元来た木道を帰路に選んだ。 
 
弥陀ヶ原 池塘
ボッカ
 広い8合目の駐車場も早立ち登山者が先に止めた場所から空き、閑散としてきた。シャトルバス発車5分前の肉声が響いていた。霧もまき、朝の庄内平野一望の雄大な景色はどこにも無かった。静かに今日の一日が暮れていく。
 
 素晴らしい山。。。
 思い出をたどる山・3度目にして快晴の山、花の山、ありがとう。
八合目駐車場



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