長野県 美ヶ原 王ケ頭 2,034m

 高原という言葉が手擦(てず)れてくると、近頃はアルプという語が用いられ始めた。アルプの本来の意義は、スイスの高山山腹の夏季牧場だそうである。
 私たちはすぐ明るい太陽と、爽やかな風と、色さまざまな花のしとねと、牝牛に鈴の音とヨーデルを想像する。そういう高原の中で第一に挙げたいのが
 美ヶ原である。ここほどその条件にかなった所もないだろう。大体二千米前後の高度を保って豊かに起伏した原である。北アルプスの二、三の原(例えば
 五色ヶ原や雲ノ平)を除いては、これだけの高い原はない。(略) 
 全く、桁外れて広い。美ヶ原の範囲はどこまでさすのか知らないが、南の茶臼山から北の武石峰まで、広濶な山上の草原が、果てしもないように続いて
 いる。さあ どこでも勝手にお歩きなさい、といった風に続いている。(略)
 以前松本平の人々は美ヶ原を東山、北アルプスを西山と呼んだそうだが、その西山の最高重要部分、槍、穂高の連嶺を、東山からまざまざ眺めることが
 出来る。その豪快な山容を鑑賞するのに、最も適した距離である。その眺めに呆然としてから、眼を他に移すと、別の多くの山々が我も我もと名乗りを
 挙げてくるのに接するだろう。
                                                     【日本百名山 深田久弥】より抜粋 
タイトル写真:王ケ塔
平成22年 10月23日(土)    
               のろのろ風風
赤線=往路・復路

 自宅発6:50→駒寄PA⇒佐久平PA7:458:10⇒東部湯の丸IC8:21
 →昼食 調達8:40 8:45→(R152・62)→武石峰9:20 9:25→思い出の丘
 9:31 9:50→美ケ原自然保護センター駐車場着9:55
 美ケ原自然保護センター10:12…(0.5km)…天狗の露路コース分岐
 10:21…(0.8km)…電波塔10:53…(0.1km)…王ケ頭10:59 11:15…
 (0.1km)…王ケ頭ホテル前…(1.7km)…塩くれ場11:5512:25…
 (0.4km)…美しの塔12:32 12:39…王ケ頭ホテル前標識
13:25…(天狗
 の露路)…美ケ原自然保護センター14:00
 美ケ原自然保護センター発14:17→武石峰→美ヶ原林道→三才山
 トンネル→R254号→東部湯の丸湯楽里館15:5616:45→東部湯の丸IC
 ⇒上信越道⇒駒寄PA→自宅着18:15
     
                              本日の走行距離 324km
表示: ⇒有料道   → 一般道  …歩き Yahoo! JAPANマップ

   H22. 9.11毛無山を計画した時に、美ヶ原・王ケ頭も候補にあったが、そこへ行くまでの距離を考えて先送りにした。秋雨前線が停滞していたこの一週間、週末の土曜日は晴れるという。今回はここ美ヶ原に決める。20数年前に子供達と一緒に夏休みの旅行で美ヶ原高原美術館へ行った以来で、武石峰からは初めてのコースである。 美ヶ原は素晴らしい天気で待っていてくれた。
 



9:23

9:25
 武石峠辺りの林道はくねくねで細い。直線になった頃にマユミの大木を見つけた。と同時に雲海の向こうに戸隠連峰を確認する。あまりにも綺麗な景色に心が騒いだ。止めて!と車から降りてピンク色に染まった木を見上げる。さっきの場所まで、駆け戻って山並みを見る。綺麗~! 
 再び、車に乗って数分すると、王ケ頭の電波塔が見え隠れする。

武石峠先のマユミ 武石峠先からの戸隠連峰  
   右手に北アルプスの大展望が広がった。どうしちゃたのこの景色!手前の林道から目線を落とすと、松本市が銀色に光っている。その空を覆うように雲海、雲の上に頭を出す3,000m級の北アルプス連峰。このような大展望は経験した事が無い。白馬岳見える。五龍岳が見えた! 小遠見山はあのつらなり、八方尾根はあそこだ。
 直線道路になった頃に、車を止めてもらい下車した。どうやらここは【思い出の丘→武石峰】のようである。槍ケ岳が見えた! 何故、槍が見えるとこのように興奮するのでしょうか。
 9:31

 美しさに見入っていると、後続の車も止めて、車内から飛び出るように降りてくる。出てくるやいなや口々に  ”こんなに素晴らしい景色は無いぞ!
 
                鹿島槍ヶ岳   五竜岳      白馬連峰  
9:50



 
 
  思い出の丘から北アルプス   穂高連峰 槍ケ岳     大天井岳     燕岳      爺ケ岳    鹿島槍ヶ岳 

10:12



天気最高だ!” と叫びに近い声をあげている。
 美ヶ原自然保護センター駐車場に着いた。北東に浅間連峰から左に戸隠連峰の妙高山や火打山、高妻山が確認できる。胸躍る気持をおさえ、そそくさと仕度をして売店の中でパンフレットを頂いて出発する。
 美ケ原自然保護センター 天狗の露地コース分岐
10:36



10:42
 
 売店職員の方は、『10月に入って一番のお天気です。1年に数回有るか無いかの快晴、良い時に来られましたね。』と、おっしゃってくれた。
 【天狗の露路】を教えていただき、そこから王ケ頭へ登る。右に北アルプスの連峰を見て、背に浅間連峰を従えて進む、今秋初めての霜柱を確認した。歩いていると長袖Tシャツ1枚でも、うっすらと汗をかいてくる。
 
 
 
 天狗の露路より振り返って 霜 柱 
   
   浅間連峰  根子岳 四阿山 烏帽子岳  三方ケ峰   浅間山 
10:45



10:53
 
 今日は、この三方ケ峰(↑)にお友達が登っている。その山に知っている人が入山していると思うと、いつもより山座同定に力が入る。売店でいただいた【美ヶ原高原遊歩道マップ】には、山名の記載がしっかりあり資料としては最高だ。非常に助かった。
  電波塔前の柵 電波塔と王ケ頭ホテル
 



10:59


 電波塔群と王ヶ頭ホテル広場に到着、そこから右へ100mで王ケ頭に着いた。乗鞍岳登ったね! 木曽駒ケ岳登ったね!興奮する私を落ちつかせるかのように『槍は登れっこ無い山だ、充分見ていいぞ。』と声がした^^; 
 も・も・もう素晴らしい眺めです。言葉はいらないというのは、この事でしょうか。。。。大げさな。。。。と言われるかもしれませんが、視野の中に入りきれない程の山並みです。
 
王ケ頭 三角点  石盤④ サムネイル表示
 動く事が出来ない。目に入りきらない景色を、カメラにおさめようとカシャ・カシャ。。。。どうしたら良いんでしょうこの景色!  勿体無い!この目で見ていいのでしょうか。素晴らしいです。
  王ケ頭からの遠望    御嶽山   鉢盛山 乗鞍岳


11:15

 
 
  槍ケ岳  
11:26



         
 (奥)八ケ岳連峰 富士山      (奥)南アルプス連峰 (奥)木曽駒ケ岳 御嶽山


11:34


 ”標高2,000m 360度の大パノラマはまさに”アルプスの展望台”パンフレットにあるが如くの景色
 富士山も綺麗に見えた。
 後ろ髪をひかれながら王ケ頭を後に、高原台地を【美しの塔】まで歩く事にした。山頂の王ケ頭で、二言三言交わしたご夫婦と前後して進む。
 
富士山 サムネイル表示 王ケ頭とホテル、電波塔 
11:55



12:25
 王ケ頭ホテルに昨晩お泊まりになり、夜のインベントで鹿ウオッチングをなされた様子や、今朝の雲海の話を聞く。
雲海に浮かぶご来光を体験していない私には、強烈過ぎる話の数々で聞き入ってしまった。
 。。。孫達を連れての遠足も良いなあ~、なんても思う。
  
塩くれ場 塩くれ場 ベンチ





12:32

12:39
 途中、【塩くれ場】のベンチで昼食をとる。なんと長閑な景色なのでしょう。青い空に掃き清めたような雲の筋、さっきは鳳凰に見えたけれど、今度は何かな? お弁当の後にベンチに寝転んで空を見あげる。”食べて すぐ寝ると 牛になる” 草原で草をはむ牛と同じである。
眠い! でも、寝るなんて勿体無い! 眼をつぶって空想の世界に入り、空の音・雲の流れを聴いてみようと思った。
 
 休憩も終わりにして午後のスタートです。【美しの塔】
 を目指して歩き始める。 400mで到着した。 

美くし塔 サムネイル表示
1247





13:25
 塔の内部、鉄平石のレリーフ、ちょっと混んでいたので、外からグルッと見渡す。
 ここでも、まだまだ360度の大展望が広がる。王ケ頭の展望と違うのは、ここは平原であることだ。ゆるい下り坂を降りてここまで来ている。牧場内には黒毛牛がお食事中、この眺めも良いなあ~。
   黒毛牛 王ケ頭ホテル前標識


14:00
 午後になると多少、雲が多いようだ。午前中は、各々のアルプスの背景は真っ青の空であったが、雲が立ちこめて白の背景となると、峰々は鮮明とは言えない。太陽も西にかざし、夕日のように山の斜面にあたり、紅葉の色が浮かんできた。
 夕日の沈む時間も、ここは綺麗なんだろうと思える。
 王ケ頭ホテルに到着、中に入りトイレを借りる。使用料100円。山頂の1件宿は落ち着いた良い雰囲気が漂う。カタログをいただき後にする。
 
 
美ケ原自然保護センター
   【天狗の露路】より下山する。登る時は背にしていた戸隠連峰・浅間連峰と向きあうような形で下山、左手に見える槍ヶ岳も手前の紅葉の山と相まって、またまた美しい。【アルプスの展望台】といわれる美ヶ原を歩き、心満タンで駐車場に着く。全行程7km強を登ったり歩いたりした。
 売店の職員の方に、帰館の挨拶や富士山が見えた報告と、諸々のお喋りをさせてもらった。
 ここへは、もう一度来たいと思う。家族、山仲間、友人、知人と一緒に来たなら、違う楽しみ方があると思った。
 20数年ぶりに訪れてた美ヶ原からは大満足を頂きました。ありがとう。

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